内容: 世界中の至るところで栽培されていた藍は、近世の木綿の普及とともに日本人の生活の中に深く浸透するようになりました。夏の浴衣、店先の暖簾(のれん)、毎日の仕事着、幼児の産着(うぶぎ)など、一昔前の日本人の暮らしの中に藍染めは欠かせないものでした。
生活と密着していた証拠の一つとして、藍の濃淡を表現する日本語をいくつか挙げてみましょう。たとえば、ほんのわずか藍瓶につけただけの淡い青には「瓶覗(かめのぞき)」と言う面白い名前が付いています。他にも身近な草花から取った名前として、薄いネギの葉の色から来た浅葱(あさぎ)色、露草の色に由来する縹(はなだ)色等、微妙な染め色の変化を日本人は楽しんでいたようです。私たちの祖先が色と色名に対して繊細な感性を育て、美しさを伝えてくれたのは素晴らしい文化遺産の一つではないでしょうか。
今回は芹沢_介の染織品コレクションの中から、夜具地・着物・風呂敷・馬の腹掛け・幟(のぼり)・大漁の際の祝い着である万祝(まいわい)等、藍染めを駆使した美しい染色品を紹介いたします。(「日本の心 藍染めの美しさ」展リーフレットより)
<講演会>
●テーマ:「芹沢_介の仕事」
●開催日:平成11年8月20日(金) 18時30分〜
●場 所:芹沢_介美術館 D展示室
●講 師:芹沢長介氏(東北福祉大学芹沢_介美術工芸館館長) |