内容： 芹沢銈介が永年に渡って収集し続け、当館に寄贈したコレクション4,500余の中で質、量とも群を抜いているのは染織品の数々でした。
これは芹沢自身が染色工芸家であったため、染め、織り、材質、仕立て等に特別にこだわりを見せ、幅広い興味が蓄積された結果と言えます。
今回は、芹沢銈介の集めた日本の染織衣裳類と、コレクションの中でも特に評価が高い青竹衣桁に桃山風の豪華な衣裳を描いた「誰が袖六曲屏風」を紹介します。
型染や筒描を施した優雅な被衣（かづき）は、女性が外出する時に顔を隠すため頭から被ったもので、京都のほか、北前船による都との交易が盛んだった山形県庄内地方等で時々見いだされる涼しげな古典的衣裳です。
芸能装束（しょうぞく）としては三河万歳に使用された素襖（すおう）や、鬼女や蛇体の女を表す三角形を積み重ねた鱗文の能装束などが眼を引くことと思います。
この他、友禅染衣裳、絞り染着物、金糸を施した各種の衣裳裂など、芹沢が収集した染織品の世界を心行くまでお楽しみください。
また、同時に開催している芹沢銈介作品の展示では、山梨県の美枝きもの資料館からお借りした「丸紋散らし地白着物」「柳水文地白着物」を静岡では初めて紹介いたします。さらに新収蔵品として戦前に制作された百の丸紋よりなる「草花文二曲屏風」も展示しますので合わせてご鑑賞ください。（「衣装づくし―被衣・芸能装束・時代裂」展リーフレットより） |
